今日も前回に引き続き映画『マネー・ショート』に出てくる登場人物や金融用語など調べたことをここに記録していきます。
途中で出てくる用語で説明済みのものにはリンクを貼り付けました。是非過去の記事も合わせてご参照ください。
※各項目の「シーン○」は私が個人的に分かりやすいように分けたものです。
※著作権侵害にならないように、ストーリーは控えめにして主に用語について書いています。ご興味のある方はぜひ映画を観ながら参考にしてください。
今回は映画開始37分過ぎ~始まります。
それではいってみましょう!
シーン10
JPモルガンで待つ青年2人。
チャーリー・ゲラー
チャーリー・レドリーという人物がモデル
ジェイミー・シプリー
ジェイミー・マイという人物がモデル
ブラウンフィールド・ファンド
実際の社名はコーンウォール・キャピタル・マネジメント。チャーリーとジェイミーが立ち上げた会社。
ISDA(いすだ)
ポイント
International Swaps And Derivatives Association(国際スワップ・デリバティブ協会)の略。
ISDAの同意書があれば、原則として、ウォール街の大手投資銀行を相手に、対等とは言えないまでも、少なくとも一人前の立場でトレードができる。
長期オプション
一般的なオプション取引では、短くて数日間、長くても3ヶ月くらいがメイン。
長期オプションとはその取引期間が長いもの(米国では残存期間が9ヶ月以上のオプションを「LEAPS」と呼んでいる)。
ジェイミーが「ISDA契約を取得して長期オプションを扱いたい」と言っていました。
では「オプション取引」とは何なのか調べました。今回は、大和証券のHPに載っていた説明が非常に分かりやすかったので、これを元に説明します。
※オプション取引については、映画のストーリーに直接関わってこないので、飛ばしても支障はありません。
オプション取引
契約で得た権利を自分の都合に合わせて使うか使わないか自分で決められる取引のこと。その権利を得るためには代金(プレミアム)を支払う必要がある。
具体的に見ていきます。オプションには4つのパターンがあります。
①コールオプションの売り
②コールオプションの買い
③プットオプションの売り
④プットオプションの買い
まずは①②の取引を見てみます。
コールオプションの「売り」と「買い」
コールオプションとは「対象となる商品を買う権利」という意味で、「コールオプションの売り/買い」とは、「対象となる商品を買う権利」を売る/買うことです。また、そのためにはオプション料(プレミアム)の支払いが必要です。
「買う権利」を売る/買う・・・ややこしいですよね。
具体例を見てみます。
まずあなたは、ホニャララ会社の株価が将来1,000円以上になると予測したとします。
一方Bさんはホニャララ会社の株価は1,000円以下になると予想しています。
そこであなたはBさんに
「半年後ホニャララ会社の株価を1,000円で買うよ。」
という話を持ちかけます。
さらに
「100円払うから、もし自分が損する立場になったらこの話チャラにしてもいい?」
という条件も出して、Bさんが承諾すれば契約成立です。
そして半年後。ホニャララ会社の株価は1,500円に上っていました。
あなたの予想通り株価は上がったので、Bさんとのオプション取引を実行することにします。
このような流れで取引が行われます。
①Bさんが株式市場からホニャララ会社の株を1,500円で買う
②Bさんがその株をあなたに1,000円で売る
③あなたはBさんに1,000円を支払う
④あなたは株式市場でホニャララ会社の株を1,500円(相場の価格)で売ることができる。
あなたはこれで400円の利益を得ることができます。
逆に半年後、ホニャララ会社の株価が800円に下がったとします。
仮にオプション取引を実行したとすると、図3のようにあなたは300円損してしまいます。
しかし、最初にBさんに100円のプレミアムを払って「万が一の場合は権利を放棄できる」という約束をしていたので、あなたはこの契約の権利「ホニャララ会社の株をBさんから1,000円で買う権利」を放棄することができ、結果100円の損失で済みます。
以上のような取引では、あなたはコールオプションを「買う」立場、Bさんはコールオプションを「売る」立場、ということになります。
以前の記事で書いた「先物取引」に似ていますが、先物取引は将来の取引を約束し、その期日が来ればそれを実行しなければいけないという取引に対して、オプション取引は「プレミアムを支払った側が最終的に取引するかしないかを決めることができる」というのが先物取引との違いですね。
それでは、もう一つのパターン③④を見てみます。
プットオプションの「売り」と「買い」
プットオプションとは「対象となる商品を売る権利」という意味で、「プットオプションの売り/買い」とは、「対象となる商品を売る権利」を売る/買うことです。こちらもオプション料(プレミアム)が必要です。
またややこしいので、図で説明します。
あなたは、将来ホニャララ会社の株価が1,000円以上になると予想しています。そしてBさんは1,000円以下になると予想しています。
ここまではさっきと同じですね。
ここで、今度はあなたが
「半年後にホニャララ会社の株を1,000円で売ってくれない?」
とBさんに持ちかけます。そしてさっきとは逆で
「100円のプレミアムをくれれば、万が一Bさんが損をする立場になったらこの話無かったことにしていいよ」
と約束します。
そして半年後。あなたの予想通りホニャララ会社の株価は1,500円に上がりました。
Bさんはこのまま約束通りあなたに1,000円で株を売ると損をしてしまいます。
しかし、今回はBさんがあなたに100円のプレミアムを払っていたので、この取引はナシにしようと権利を放棄することができます。すると、あなたはプレミアム料の100円が儲けとなります。
では逆に、半年後のホニャララ会社の株価が600円に下がった場合はどうなるでしょうか?
Bさんは自分に利益が出るのでもちろん約束通りホニャララ会社の株をあなたに1,000円で売ります。あなたは株式市場の相場では600円のホニャララ会社の株を1,000円でBさんから買わなくてはいけないので、400円の損をすることになりますが、半年前にBさんから100円のプレミアムを貰っているので、300円の損失になります。
この取引では、あなたはプットオプションを「売る」立場、Bさんはプットオプションを「買う」立場、ということになります。
これがオプション取引の4つのパターンです。
そして長期オプション取引とは、上の例で言うと、「ホニャララ会社の株を売り買いする時」を半年後ではなく、もっと先の時期(「LEAPS」では9ヶ月以上先)に設定する取引のことを言います。
ベン・リカート
モデルはベン・ホケットという人物。ドイツ銀行東京支店で9年間働いていた経歴がある。
シーン11
ダニーとポーターはフロリダ州のマイアミに飛んで、サブプライム・ローンで建てられた空き家ばかりが並ぶ区域を訪れます。
シーン12
マイケルのオフィスにローレンスがやってきてひと悶着あるシーン。
2007年に変動金利になり、デフォルトが急増する
この話をしている時は、恐らく2005年あたりですよね。ということは約2年後には住宅市場は破綻するとマイケルは想定しているということになります。
「空売りした債券の総額は?」と聞かれてマイケルは「13億ドル」と答えていますが、これは、もし住宅市場が破綻した場合にマイケルが貰える額です。
→マイケルが考えた空売りの方法(CDS)はコチラの記事をご覧ください。
保険料の支払い額は「8000万~9000万ドル」と答えていました。
仮に、保険料9000万ドルを2年間払ったとしたら、9000万ドル✕2=1億8000万ドル。
これを差し引いても、約11億2000万ドルの儲けということになります。
しかしそれを信じられないローレンスや投資家たち。
もし、保険料を払い続けたまま住宅市場が破綻しなければ、マイケルの会社の資産は6年で消えると主張します。
が、マイケルはサブプライム・ローンの変動金利でローンが払えなくなる人が続出すると読んでいます。
サブプライム・ローンの変動金利の設定は本当にひどかったらしく、最初の2年は金利がめちゃくちゃ安く、その後にどんどん金利が上がっていくパターンや、
最初の数年は金利のみ支払えばいいけど、その分後々ローンが膨らんでいくパターンなど、
「最初の数年だけ支払いが楽で後は地獄」のようなローンを組んでいたようです。
このようなローンはカリフォルニアやフロリダで多く見られ、怪しい金融業者によって組まれていたということです。
まとめ
今日はここまでです。
サブプライム・ローンの影が少しづつ忍び寄っています。
「オプション取引」を調べて思いましたが、世の中には私が知らないだけで、いろんなお金のやり取りがあるんだなと改めて実感しました。
この映画の原作を読めばもっと映画を楽しめるので、興味のある方は原作もチェックしてみてください↓。
マネー・ショートの次はこの映画・ドラマがおすすめ
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それではまた次の記事でお会いしましょう!